パパイヤ
分類 | パパイヤ科 パパイヤ属 常緑性多年草 |
---|---|
原産地 | 中央アメリカ |
耐寒温度 | 5℃ |
生育適温 | 25~30℃ |
パパイヤ(パパイア、パパヤ:papaya)は、熱帯、亜熱帯各地で栽培されている草に近い常緑小高木です。パパイヤの木に傷をつけると、白い乳液が出てくることから、別名、乳瓜(チチウリ)とも呼ばれます。ほかにも、木瓜(モクカ)、パウパウ、ママオ、ツリーメロンなど様々な呼び名があります。その瓜に似た果実、パパイヤは南国の果物の中でも代表格です。未熟果のうちに収穫する青パパイヤは野菜としても利用されます。家庭での栽培には、丈の大きさがあまり大きくならない矮性(わいせい)品種が適しています。生育は非常に旺盛で病害虫もほとんど心配がなく、育てやすい熱帯果樹です。結実年数は、苗からで約9ヶ月、実生でも翌年には収穫できます。1年草の野菜感覚で地植えにするのも良いでしょう。
品種・種類
品種はたくさんありますが、丈が大きくならない矮性(わいせい)の品種がおすすめです。矮性品種でおすすめは、紅妃(コウヒ)、ビクトリー、レッドレディー、台農2号、ジャンヌなどがあります。台農2号の種子、レッドレディーの種子なども市販されています。近年では、種無し品種や糖度の高いフルーツパパイヤも人気です。また、パパイヤには実がなる雌株とならない雄株がありますが、園芸品種の多くは1株で結実する両性株です。
ゴールデンスイートパパイヤ 最高糖度14度果重約300g明るく黄色い実が特徴
特徴
在来種で、本来は高さ2~10mになる常緑性多年草です。葉は、大きくヤツデに似ており頂点から次々と出てきます。古くなった葉は下から黄色くなり順番に落ちていきます。花は、白色で雄花、雌花、両性花があり、種類や品種によって雌雄異株、雌雄同株です。園芸品種はほとんどが両性株で、雄花、雌花、両性花が1本に咲きます。木が成熟すると頂点の葉の付け根に花芽がつきます。
果実は、品種によりさまざまで長さ10~30cm、重さ200g~4kgほど、瓜に似た形で緑色から熟すと黄色になります。果肉は黄色~紅橙色で味や食感はやわらかい柿に似ています。一般的に果実が大きいほど甘味が薄く大味になります。熟す前の実にはパパイン酵素を含んでおり、肌荒れやアトピーなどにも効果があります。株が成熟すれば、葉1枚につき果実を1個つけます。種子は黒色で果実の中央部分に100~1000個程度入っています。受粉しないで結実した果実は種子がなく空洞です。
タネの蒔き方
種の周りのゼリー状の薄い皮をとり除いて蒔きます。灰色の種は未熟なので黒い種を選びます。種まき用培養土など清潔な土に植え、軽く覆土します。用土は乾かないように管理します。発芽率は良く、1~2週間で発芽します。園芸品種モノの種子でない場合は、花が咲くまで性別がわからないのでいくつか同時に育てたほうがよいでしょう。完全な雄株だった場合は結実しない可能性があります。
- 種
- 発芽
- 数日後
- 1年6ヵ月後(9号鉢)
栽培のポイント、冬越し
日当たりを好みます。生育適温は25~30℃です。春~秋までの平均気温20~30℃の期間は、戸外で直射日光の当たる風通しの良い場所で育てます。真夏の気温35℃以上の高温の期間は雄花ばかりなり、結実しにくくなります。平均気温が15℃以下になると休眠状態になり成長が止まります。冬は室内の明るい窓辺などで管理します。できれば10℃以上、品種にもよりますが5℃を切らなければ大丈夫でしょう。10号の鉢植えで、2~3個の果実は収穫できます。最低温度20℃以上を維持することができれば年中、開花結実を繰り返します。
鉢植えパパイヤは超ド迫力の観葉植物にもなる。(高さ約170cm 10号鉢)[花右衛門]
用土と肥料、水やり
肥沃な水はけの良い用土(pH5.5~6.7)を好みます。果樹用や草花用の培養土にパーライトを2割り程度混ぜると良いでしょう。自分で作る場合の配合は、赤玉土6、ピートモス2、川砂2など。肥料は成長期の5~10月までは毎月、固形化成肥料などを規定量施します。リン酸とカリが多めで窒素分が少なめの肥料が適しています。水やりは、葉が大きく蒸散量が激しいので生育適温期は水切れに注意します。春~夏は朝夕、たっぷり水遣りします。乾燥には弱いのですが、加湿状態になると根腐れになりやすいので注意します。土の表面が乾いてからたっぷりとやりましょう。秋は気温が下がってきたら徐々に控えめにしていき、冬は土が乾いて2~3日たって水やりします。
仕立て方と剪定、植え替え
枝の分岐はほとんどないので、そのまま真っ直ぐ伸ばせばスタンダード仕立てになります。根が鉢底からでてきたら、徐々に大きな鉢へ植え替えていき最終的には10号鉢以上の大きさにします。大きくなりすぎて剪定する場合は、好みの高さ(30~50cmくらい)に切り戻します。清潔な鋭い刃物やノコギリでカットしてください。幹の中心部分は空洞になっているので、できれば切り口を園芸用のパテ(キヨナールパテなど)で保護します。数日後、脇芽が出てくるので元気の良い1~2本を選び他の脇芽は摘みます。剪定する位置が低いと脇芽が出てくるのが遅いようです。剪定や植え替えの適期は、5~9月です。パパイヤは雌雄異株、雌雄同株が不安定な植物のため、剪定の刺激により雄株が雌株や両性株に変化することもあるそうです。
- 切り戻し剪定
- 10日後
上の写真の1年後、また切り戻して鉢から引っこ抜いた様子。根がパンパンです。根を整理しつつ植え替えて数日後、無事に新芽が出てきました。
- 剪定後、鉢から引っこ抜いた様子
- 数日後
人工授粉
人工授粉は特にしなくても結実します。人工授粉をする場合は、筆などで雄花の花粉を雌花の柱頭につけてやります。受粉せずに結実した場合は種のない実ができます。結実するのは雌花と両性花で根元の部分がふくらんでいます。根元が細いのは雄花です。
- 雄花
- 雌花
- 結実
収穫と食べ方
結実して熟すまで4~6ヶ月ほどかかります。果皮が全体的に綺麗な黄色になったら収穫します。果皮の1~2割が黄色なりはじめた時に収穫して追熟することもできます。完熟した果実は日持ちしないため早めに食べましょう。
また、未熟果の状態で収穫すると、野菜として炒め物や天ぷらなどにも利用できます。果肉には、タンパク質分解酵素パパインが含まれているため硬い肉と一緒に煮ることにより柔らかい肉へと変化させる働きもあります。