チェリモヤ

分類 バンレイシ科 バンレイシ属 半落葉小高木
原産地 コロンビア南部、ペルー、エクアドル
耐寒温度 -2℃
生育適温 18~25℃

チェリモヤ(cherimoya)は、世界三大美果の一つといわれ、真っ白でなめらかな舌触りはカスタードに似ており、バンレイシ属の中でも特に美味しいといわれています。甘味と酸味のバランスがとてもよく、バニラ、ヨーグルト、バナナ、パパイヤなど様々な風味に例えられ、その食味から「木になるアイスクリーム」といわれています。チェリモヤの名前の由来はペルー語で「冷たい種子(Chiri muya)」が語源とされています。チェリモヤを含むバンレイシ属の果物を別名、カスタードアップル(custard apple)とも呼びます。栽培は、耐寒性もあり生育旺盛、病害虫の心配も特になく自家栽培しやすい熱帯果樹です。日陰にも強く50%程遮光下においても光合成が活発に行われます。結実年数は、苗からで1~2年、実生で4~5年です。バンレイシとチェリモヤを掛け合わせフロリダで品種改良された交雑種アテモヤも人気があります。

チェリモヤ

品種・種類

チェリモヤの品種は果面の形から5つのタイプに分類されます。

スムース(Smooth)
果実の外観はギュウシンリ(牛心梨)に似ており、果皮はなめらかで鱗模様はほとんど判別できない。このタイプの品種は「リサ」「ブース」など。
フィンガープリント(Fingerprinted)
果皮にはっきりとした鱗模様があるもので、優良品種が多い。このタイプの品種は「フィノ・デ・ヘテ(フィノ・デ・フェテ)」「ベイズ」「ホワイト」「ベイアット」「ハニー・ハート」「ブース」「ビッグ・シスター」など。
アンボネート(Umbonate)
フィンガープリントの鱗模様中央部に小さい突起のあるもの。ツゥバキュレートにも似ているが、突起は小さく短い。果皮は厚く、果肉には酸味がある。種子の数も他のタイプに比べて多い。このタイプの品種は「ボールウイン」「カンパ」「ビック・シスター」「ピアス(ピアース)」など。
ツゥバキュレート(Tuberculate)
鱗模様の頂端がコブ状に突き出している。このタイプの品種は「エル・バンポ」「アット(アットー)」など。
マミレート(Mammillate)
ツゥバキュレートよりも更に長い突起がある。このタイプの品種は「セイバー」「エクアドル」など。

おすすめ品種

チェリモヤの苗 フィノ・デ・ヘテ
チェリモヤ フィノ・デ・ヘテ(fino de jete)
グリーン・リバーバレーと呼ばれる山間部のjete村原産でスペインで古くから生産されている主力品種。finoはスペイン語で滑らかという意味。果実は平均250gほどで果皮は強く輸送性にも優れている。とても甘く酸味は少なめの品種。

チェリモヤの苗 ビッグシスター
チェリモヤ ビッグ・シスター(big sister)
1979年米国カリフォルニア州サンディエゴのJames Neitzel氏作品種。 結実性がとても良く果実は平均600gの大果になり、甘すぎず酸味とのバランスが優れている。基本的にフィンガープリントだが、アンボネート、ツゥバキュレートの果実になることもある。ビッグシスターと親木が同じセイバー(sabor)という品種もある。

チェリモヤの苗 エルバンポ
チェリモヤ エル・バンポ(el bumpo)
1986年米国カリフォルニア州ヴィラ・パークのRudy Haluza氏作品種。果実は中~大果で平均500gほど。成熟すると黄緑色になる。甘く上品なヨーグルト風味でとても滑らかな果肉。果皮が軟弱なため輸送には不向きである。

特徴

本来、高さ4~10mほどになる半落葉小高木です。葉は大きく卵形で長さ8~20㎝ほど、葉裏は細かい毛に覆われており、単葉で枝に互生します。はっきりとした休眠期はなく無加温栽培の場合、春頃に葉が黄色くなり落葉して新芽が出てきます。

チェリモヤ 花

花は両性花で甘いソーダーのような香りがします。雌雄異熟花で雄花から花粉が出る前に雌花が熟すため1つの花のなかでは自家受粉しにくい性質があります。花弁は6枚のうち3枚のみが肥大しており大きく目立ちます。花芽は新梢の基部につきます。開花期は4~6月頃です。

チェリモヤ アメリカ産 350グラム

果実はハート形~円錐形で、大きさ10~15cm前後、重さ100~500gほど、果皮はうろこをつけたような模様があります。果肉は、白くカスタードのようにねっとりしており、甘みが強くわずかに酸味があります。種子は、大きさ1~2cmで10~20個くらい入っています。

チェリモヤ アメリカ産チェリモヤ アメリカ産
贈り物にも最適なチェリモヤ。熟してくると緑色から茶色になる。

チェリモヤの果実 チェリモヤの果肉

タネの蒔き方

完熟果から採種します。種子は黒色で大きいものを選びます。未熟な茶色の種子は発芽率が悪いので省きます。種を綺麗に洗い、水につけて沈むものだけを選びます。赤玉土や種まき用培養土など清潔な用土に種を蒔き軽く覆土して土が乾燥しないように管理します。発芽適温は28~32℃、発芽まで2週間~2ヶ月くらいかかります。種まきの適期は5月頃です。

チェリモヤの発芽

栽培のポイント、冬越し

日当たりの良い場所で管理します。果実には直射日光があたらないほうが糖度が増します。生育適温は18~25℃で30℃以上の高温を嫌います。最低気温が15℃以上の時期は戸外で育てます。冬は、室内に取り込み最低温度5℃以上が保てる日当たりのよい場所に置きます。冬期でも最低気温が5℃以上あれば成長し続けます。

用土と肥料、水やり

水はけの良い肥沃な弱酸性(pH5.5~6.0)を好みます。用土の配合は、赤玉土7、腐葉土3の割合で良いでしょう。肥料は、3月、6月、10月に有機質肥料を規定量より若干多めに与えます。果実生成にはカルシウムとカリウムが多く必要とされるため、冬期に苦土石灰などを施すとよいでしょう。浅根性(せんこんせい)で水を好みます。水遣りは、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりとやりましょう。特に、開花期や果実の肥大期は水切れのないよう注意します。最低気温が15℃以下になりだしたらに除々控えめにして、冬期は乾燥気味に管理します。

仕立て方と剪定、植え替え

開心自然形や主幹形で仕立てます。高さ50~80cmで切り詰め、基本となる主枝を3~4本ほど出して形を整えていきます。枝に角度をつけたい場合はやわらかいうちに誘引してやります。剪定は、徒長枝や込み合っている枝など不要な枝は早めに整理します。花芽は新く伸びた枝の基部につく為、長く伸びた枝を切り詰めても花芽を逃すことはありません。剪定の適期は2~3月頃です。植え替えは、数年おきに根が詰まってきたら鉢ましを兼ねて植え替えてやります。最終的に10号以上の鉢が良いでしょう。植え替えや植え付けの適期は3月頃です。

チェリモヤ苗 エルバンボ
チェリモヤ苗 エルバンボ

人工授粉

雌雄異熟花なので人工授粉をしてやります。午後4時頃から夕方にかけて開花が始まります。1つの花に雌しべと雄しべがあり、雌しべが先に熟し、後に雄しべから花粉がでます。蕾が開きかけた頃(雌ステージ)に雌しべが受粉可能になっているので、既に咲いている(雄ステージ)花の雄しべからやわらかい筆などで花粉を採り雌ステージの花の雌しべの柱頭につけてやります。湿度が高いほうが着果率が高いそうです。花粉は冷蔵庫で保存すれば2~3日はもちます。受粉後2週間もすれば幼果が膨らんできます。

チェリモヤの花(雌ステージ)
雌ステージ
花びらを少し開き細い筆を挿し込んで受粉する
チェリモヤの花(雄ステージ)
雄ステージ
開花した花から花粉を採取する

一つの花で受粉する方法

チェリモヤの雌しべと雄しべ
少し開いた雌ステージの花の状態のとき花弁をとって チェリモヤの花粉
おしべ部分の花粉を強引に爪で削りとってめしべにつけてやる

収穫と食べ方

成熟日数は品種や着果時期により異なりますが、およそ4~5ヶ月間を要します。収穫適期になると、果皮が白みを帯びやや黄色みが増します。熟期のまえには果実が急に肥大化してくるので肥大して1~2週間で収穫してもよいでしょう。自然落下するのを待つ場合はネットをかぶせで木に吊るしておきます。落下するまで待って収穫すれば大きく風味のよい果実になります。

チェリモヤ アメリカ産
収穫した果実は常温20~25℃で追熟させると、約1週間で果皮が茶色くなってきます。緑色のまま柔らかくなることもあります。さわって軟らかくなっていれば食べ頃です。8℃以下では低温障害を起こし追熟しないので、冷蔵庫へ入れてはいけません。追熟後は発酵が急速にすすみ味が落ちるので早め(2、3日以内)に食べましょう。食べる直前に冷蔵庫で冷やして生食します。軽く冷凍してシャーベットのように食べても美味しくいただけます。

チェリモヤの食べ頃
触ってやわらかくなっていれば食べ頃

チェリモヤの食べ方

チェリモヤ アメリカ産
和歌山産の稀少な国産チェリモヤ

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