マンゴー
分類 | ウルシ科 マンゴー属 常緑高木 |
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原産地 | インド、ミャンマー、マレーシア |
耐寒温度 | 5℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
マンゴー(mango)は、果物の王様と呼ばれており非常に美味で人気の高い熱帯果樹です。栽培の歴史は古くインドでは4000年も前から生産されていたといわれています。果実は、南国特有の風味があり甘くジューシーです。アップルマンゴーと呼ばれる普及種は、耐寒性もよく温室不要で育てられおすすめです。結実年数は、苗からだと1~2年、実生で3~6年です。
品種・種類
- アーウィン
- 国内で最も普及している品種。別名、アップルマンゴーとも呼ばれるこの品種は、佐々木正(シャープ元副社長)が高等学校の卒業研究で作り出したものであるという説と、アメリカ・フロリダ州で育種選抜された説がある。宮崎ブランド「太陽のタマゴ」もこの品種。果実は400gほどで繊維質は少ない。完熟すると果皮が赤くなり自然落果する。
- キーツ
- 豊産性で果実は大きい。通常500gほどで大きいものだと1.5kgにもなる。果皮は薄緑色。完熟しても自然落果しないので収穫後追熟させる。
- 金煌(キンコウ)
- 台湾で作られた品種でマンゴーの中でも最大級、重さ1.5~2kgにもなる。糖度も高くアップルマンゴーより甘いとされている。
- カラバオ
- 別名ペリカンマンゴー、重さ230グラムほどの小ぶりの黄緑色品種。果肉の滑らかさ舌触りの良さはとても良い。主にフィリピンで生産されている。
特徴
本来、高さ10~20m以上になる常緑高木で、よく分岐しドーム状の樹形になります。鉢植えでは高さ1.5m前後です。葉は長楕円形で長さ10~30cm、若葉のころは赤褐色で次第に緑色へと変化していきます。花は、500~2000個の小さな花が集合して花穂が形成されています。花穂には、雄花と両性花が混在しており、自家結実性で一本の木で結実します。花数は多いのですが着果するのはその中のごくわずかです。
果実は、品種や種類によって異なりますが重さ50~500g程度で果皮の色は赤色、緑色、黄色とさまざまです。種子は、果実の中に1つ入っており、扁平で大きく硬い繊維質の殻に覆われています。マンゴーはウルシ科のため、体質によってはかぶれ症状がでる場合があるので注意が必要です。
タネの蒔き方
果実を食べたその日に蒔きます。繊維質に覆われた硬い殻の中に種が入っているので、ハサミなどで中の種を傷つけないように慎重に取り出します。肥料分のない清潔な種まき用培養土や赤玉土などに蒔きます。種を用土の半分くらいに埋めて、用土が乾かないように管理します。うまくいけば、1週間ほどで発芽します。発芽には20℃以上の温度が適しています。種まき適期は6~7月です。果実の種類が、黄色系統は多胚種が多く、親の木と同じ性質を受け継ぐそうです。赤色系統は単胚種が多く、親の木の性質とは異なるものなりやすいのですが、ごくまれに親を超えるおいしい実をつける木になることもあるそうです。
- 殻の中から取り出した種
- 水上発芽
水につけてもおいても発芽します。球根の水耕栽培の要領です。適当な瓶に水を入れ種が半分程度つかる位置で固定します。毎日観察して、水が減れば補充します。水耕栽培で発芽させれば、種の色が白から緑色になり、次第に根が伸び発芽する様子が観察できます。ある程度育ったら土に植えます。
栽培のポイント、冬越し
生育適温は20~30℃です。4月下旬~11月頃までは屋外の日当たりと風通しの良い場所で育てます。6月の梅雨時は炭素病が発生しやすいので、雨が当たらないように注意します。冬は、寒さに弱いので室内に取り込みます。11月~4月中旬くらいまでは日当たりの良い室内で、5℃以上15℃未満の場所で乾燥気味に管理します。花芽をつけるには15℃以下の低温に当てる必要があります。そして、乾燥気味にすることで花芽分化を促すことができます。低温期がおわり徐々に温度が上がってきたら開花します。開花したら結実には20℃以上が必要です。3~5月の開花期は、できるだけ20℃以上を保ち水切れのないよう注意します。開花期間は長く約1ヶ月間ほど続きます。
用土と肥料、水やり
水はけのよい肥沃な弱酸性(pH6.5程度)を好みます。果樹用の培養土などを使います。自分で作る場合の配合は、赤玉土3、鹿沼土3、腐葉土3、パーライト1など。肥料は、3月、5月、8月に固形化成肥料などを規定量与えます。水遣りは、生育期の3~10月くらいまでは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。冬の11月~3月頃は、花芽分化を促すために乾燥気味に管理します。土の表面が乾き数日たって与えます。果実が肥大しきった後も乾燥気味にすると甘味が増します。
仕立て方と剪定、植え替え
開心自然形仕立てにします。鉢土から50cm程度で切り詰め、発生した新梢2~3本を主枝として育てます。接木苗の場合は、接ぎ口から30cm以上伸びたら3分の1きり戻して、分枝させます。それぞれの主枝も30cmくらい伸びたら切り戻して形を整えていきます。収穫後は、実のついた枝は翌年の結果母子となる枝を出させるために、1~2節切り戻します。剪定は、春に実の付かなかった枝を切り戻し、弱い枝などを込み合わない程度に間引きます。花が咲いてもなかなか果実が付かない場合は、養分の消費を抑えるために、開花まえに花穂の上半分を切り取っておくとよいでしょう。植え替えは、2年おきくらいに根が詰まってきたら鉢増しを兼ねて植え替えてやります。根鉢をできるだけ崩さないように作業します。鉢増しを繰り返し最終的には10号鉢以上の鉢植えにします。植え替え適期は生育期の5~8月くらいで果実の付いていない時期にします。
人工授粉と摘果
虫媒花(ちゅうばいか)なので、昆虫が受粉します。屋外の昆虫に発見されやすい場所に置きます。不安な場合は、筆で花穂全体を軽く触るか、または花穂を揺すれば花粉が飛び受粉します。開花中に雨が当たると受粉が妨げられるので注意します。
結実して幼果が親指くらいになれば1つの花穂に果実が1~2個になるよう摘果します。10号鉢の場合は、全部で3~5個程度が目安です。開花後、3~4ヶ月で成熟します。
マンゴーの鉢植え [沖縄りゅうか商事]
結実中のアップルマンゴー鉢植え(10号鉢 高さ120cm)
収穫と食べ方
果実が完熟すると自然落果します。地面に落ちると傷むので、前もってネットをかけるなどして保護しておきます。皮に光沢があり、実を触って柔らかくなっていれば食べごろです。
食べ方は、扁平な大きい種が果実の真ん中にあるので、避けるように3等分に切ります。種のある部分は、そのまま皮を剥き、残りの2つは格子状に切れ目をいれ、裏から反り返すとできあがりです。