ライチ

分類 ムクロジ科 レイシ属 常緑小高木
原産地 中国南部
耐寒温度 3℃
生育適温 15~30℃

ライチ(litchi、lychee)は、別名、レイシ(茘枝)とも呼び中国南部原産の主に亜熱帯地域で栽培されている果樹です。世界三大美人の楊貴妃が好んで食べたといわれています。果実は、酸味と甘味がほどよく独特の芳香がありとてもジューシーで、採れたての果実のおいしさは、輸入冷凍果実と比べて、その差は歴然です。葉も実も美しく冬は室内に置いて観葉植物としても楽しめます。病害虫の心配もほとんどなく、家庭栽培に適しています。結実年数は、とり木、接木苗からで約3年、実生で約8~12年です。 ライチは接木が難しく取り木が容易な為、取木苗がよく流通しています。

黒葉レイシ
レイシの中でもっとも収穫量の多い黒葉レイシ

品種・種類

自生地の中国には100品種以上あるといわれています。代表的な品種は、果実は大きく30g前後で普通種よりも種が小さく食べ応えがある「玉荷包(ギョッカホウ)」、耐湿性に優れており収穫量が多い豊産品種「黒葉レイシ(コクヨウシュ)」、ライチの王様といわれ玉荷包より一回り大きいハート型の大粒で甘さと酸味が絶妙の「ジャカパット(チャカパット)」、果皮が緑色の中にほんのり赤が混じるグリーン系ライチ「妃子笑(プリンセスグリーンライチ)」、タネが細長く平べったい品種は食べやすい為「タネナシライチ」などと呼ばれている。(完全に種がない品種もある!?植物成長調整剤「トマトトーン」を使用すると種無しになるという噂もあるが真相は不明)

ライチの種無し果実
珍しいライチの種無し品種の苗

特徴

ライチの樹
ライチの果実

本来、高さ10~20メートルになる常緑高木です。鉢植えでは樹高1.5メートル前後です。葉は羽状複葉(うじょうふくよう)で対になっています。表面は光沢があり滑らかです。若葉は赤茶色でやがて綺麗な緑色になります。水切れや加湿などストレスがかかると葉先が痛むことがあります。葉の先端から茶色くなって落ちます。

ライチの新芽
ライチの葉
ライチの古い葉

5月ごろ、前年枝の先に群がるように淡い緑色の小さな花が咲きます。雄花、雌花、両性花が混ざっており雌雄同株です。1花序に花が500~2000個ほど咲きますが、結実するのはほんのわずかです。果実は球形で重さ12~20g、大きさが2~3cmで、皮は鱗片で覆われていますが、簡単に手でむけます。果皮の色は緑色から熟すと赤くなります。果肉は白くツヤがあり、多汁で甘く芳香があります。7~8月には果実が熟します。未熟な果実には「ヒポグリシン」という毒素が多く含まれており注意が必要です。空腹時に食べてしまうと低血糖を引き起こし中毒症状が発生する恐れがあります。

ライチの花序
ライチの花
ライチの花
ライチの幼果
ライチの幼果

タネの蒔き方

果実を食べたときにすぐに蒔きます。種は乾燥してしまうと4~5日で発芽力を失ってしまうので、できるだけ早く作業します。
ライチの種子
ビワのような種が1個入っている

種まきは6~8月が適期です。果肉をきれいに取り除き、赤玉土や種まき用培養土などの清潔な土に植え、かるく覆土します。用土は乾かないように管理します。発芽率は非常に良く1~2週間で発芽します。いくつか同時に蒔いて生育のよいものを選びましょう。
ライチの発芽

ライチ実生2年目

神奈川県にて地植えの実生ライチが31年目にして開花という報告事例がみられます!!実生ライチ育成中のみなさん諦めずにがんばりましょう!

栽培のポイント、冬越し

高温多湿の日当たり好みます。生育適温は15~30℃です。春~秋の生育期は戸外の風通しのよい場所に置き、よく日に当ててください。幼木の頃は真夏の直射日光は強すぎるので、半日陰に置きます。冬は最低気温が10℃を下回ってきたら室内の日当たりの良い場所に置き5℃以上で管理します。しかし、花芽形成には100~200時間くらい20℃以下の低温(5~7℃くらい)にあてる必要があるので、成木になったら真冬(5℃以下)になるまでは屋外で育てます。11月の晩秋にでる新芽は除去してやるとエネルギーが温存され蕾がでる率が上がります。

用土と肥料、水やり

用土は弱酸性(pH5.5~6.0)を好みます。用土の配合は、赤玉土6、ピートモス2、川砂2など。市販の園芸用培養土7、鹿沼土3の配合も良いでしょう。肥料は生育期の4月、7月、9月に有機質固形肥料などを規定量施します。肥料の窒素分が多いと花芽がつきにくくなることがあるので注意します。水遣りは、生育期は毎日鉢底から流れ出るまでたっぷりとやります。水分を非常に好みます。土が乾いてなくても大丈夫ですが根腐れには注意してください。果実が形成される、6~7月は特に水切れになりやすいので注意します。秋から冬にかけては花芽分化を促すために少し乾かしぎみにします。表面の土が乾いたら水やりします。

仕立て方と剪定、植え替え

短幹(たんかん)の自然樹形仕立てにします。剪定は、通常は果実がなり始めるまでは必要ありません。果実が収穫できるようになったら、翌年の結果母枝(けっかぼし)の早期充実のために剪定します。着果せずに伸びた枝は、他の枝の果実が肥大する前に切り戻します。実をつけた枝は収穫後に半分程度の長さに剪定します。樹高が1m~1.5m位になったら、植えかえ時に好みの高さに切りつめて小柄にします。5~6月には、込み合った枝などを間引き剪定して、内部までよく日が当たるようにします。植え替えは、数年おきに根が詰まってきたら鉢増しを兼ねて植え替えてやります。実生からの場合は、植え替え鉢増しを繰り返し最終的に8~10号鉢にします。市販の苗木からの場合はそのまま8~10号鉢に植えつけます。根はデリケートで少しでも傷がつくと枯れる可能性もあるので慎重に扱います。できるだけ根鉢を崩さないよう作業します。植え付け、植えかえ時期は3月下旬~4月が適期です。

切りつめ剪定
切りつめ剪定をしてコンパクトにする

人工授粉

基本的に雌雄同株で一本で結実します。風や昆虫によって受粉しますが、人工授粉をすれば実つきが良くなります。一つの花房に雄花、雌花、両性花が混ざって咲くので全体を筆先などでなでれば受粉します。開花期は雨が当たらないよう軒下などで管理するよい。

ライチ(レイシ)の花序
前年の発育枝の先端に付くライチの花序。

収穫と食べ方

樹上でじっくり完熟させてから収穫します。ライチの実は日光を当てることで赤い色素のアントシアンが鮮やかに発色してきます。色が綺麗な紅色~朱赤色になったら完熟です。採りたてのライチの実は美しく、味も深みがあり輸入冷凍果実とは比べ物になりません。果実は皮を剥いてそのまま生食します。収穫後は、1日で果皮の色が褐色になってしまい鮮度が急速に落ちるので、貯蔵する場合は冷蔵庫で保存します。

ライチの食べ方

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