アセロラ

分類 キントラノオ科 ヒイラギトラノオ属 常緑性低木
原産地 西インド諸島、南アメリカ北部、中央アメリカ
耐寒温度 5℃
生育適温 25~30℃

アセロラ(acerola)は、西インド諸島、南アメリカ北部から中央アメリカ原産とされる熱帯果樹です。日本では沖縄県本部町で栽培されたのが始まりだそうです。別名バルバドスサクラ、バルバドスチェリーとも呼ばれ、花も実もかわいらしく鑑賞性に優れています。海外ではアセロラの盆栽も流行っています。「赤い宝石」「美肌フルーツ」ともいわれる果実はレモンの20~30倍ともいわれるほど豊富なビタミンCを含みます。コラーゲン生成を促進する効果や疲労回復効果が高く、美容界やサッカーやマラソンなどスポーツ界でも注目されています。実の80パーセントが果汁で、日持ちが悪く一般にはほとんど流通していないので新鮮なものを味わえるのは、家庭栽培ならではの楽しみです。結実年数は3号ポットの小苗からで1~2年です。

アセロラの木と果実

品種・種類

アセロラには、酸味が少なく甘味が強い甘味系と酸味が強く甘味の薄い酸味系があります。生食には甘味系のほうが適しています。酸味系はビタミンCが多く実つきがよいとされています。甘味系の品種は、ハワイ・オワフ島原産の甘酸っぱく大きい実をつける「マノアスイート」、フロリダ原産の甘く瑞々しい大粒の「フロリダスウィート」、ほか「ハワイアンクイーン」「トロピカルルビー」「チェリースペイン」「チェリータイ」など、酸味系の品種は、「マウナウイリー」「レッドジャンボ」「プエルトリコ」「バーモント」「レーボルク」などがあります。ショップでは品種名が明記されて販売されていることは少ないのが現状です。

アセロラ 甘味系ハワイ種
アセロラ苗 甘味系ハワイ種

アセロラの苗 ルージュ磐田
実付きがよい選抜品種 アセロラ「ルージュイワタ」 6号

特徴

アセロラの木

高さ約3mになる常緑性低木です。鉢植えでは高さ50~80cm程度。株元から多くの枝が発生します。葉は光沢があり大きさ、2~7センチほど。花は大きさ1.3cmほど、咲き始めは濃いピンク色で次第に白色に変化して翌日には散ります。5月から11月頃くらいまで開花結実を繰り返し年に約5回、収穫できます。両性花で自家受粉します。前年枝の付け根部分の葉腋(ようえき)に花芽が1~5ほどできます。

アセロラの花と蕾

アセロラの果実 アセロラの花

果実は、大きさ2cm、重さ5~8gくらいでサクランボに似ており、果皮は緑色から完熟すると赤色になります。果肉はジューシーで甘酸っぱく、可食部100gあたり1300mgのビタミンCが含まれています。

アセロラの葉と実 アセロラの実の中

種子は1果につき3個くらい入っています。果実は鮮度が落ちやすく、収穫後数時間で果皮が発酵して傷みだし、2日後には変色してしまいます。

アセロラの実の断面と種

タネの蒔き方

完熟した果実から採種します。水洗いして種の周りの果肉を綺麗に取り、清潔な種まき用培養土などに蒔きます。かるく覆土して土が乾燥しないように管理します。発芽適温は28℃前後、うまくいけば1ヶ月くらいで発芽します。アセロラは発芽条件に緯度が関係するという説があり、日本での発芽率は非常に悪いそうです。実生には向かないアセロラですが、日本での発芽例もいくつかあるようなので諦めずに発芽することを祈りましょう。

アセロラの種
アセロラの種

栽培のポイント、冬越し

高温多湿の気候と日当たりを好みます。生育適温は25~30℃です。5月上旬~10月上旬頃までは戸外の日当たりのよい場所で管理します。結実したら実にできるだけ日光があたるようにします。強い紫外線を浴びると実を守るために栄養を蓄えようとします。この際、葉で盛んにでんぷんが作られ実に送られます。実に送られたでんぷんは糖に変化し甘いアセロラの実ができます。ただし、30℃以上になると花が咲いても実つきが悪くなるので、真夏の高温期は、直射日光や西日があたらないように寒冷紗などで遮光するなどの工夫をしたほうが良いでしょう。最低温度は0℃まで耐えることができますが、葉を美しく保つために、冬は室内の明るい窓際などで5℃以上、できれば15℃を保つように管理します。

アセロラの新芽を切る
開花時期に花つきが悪いようなら新芽の先端をきって新芽に栄養をとられるのを防ぎます。

アセロラの新芽
冬に落葉してしまっても春になると新芽がたくさんでてきます。

用土と肥料、水やり

用土は、水はけの良い弱酸性(pH5.5~6.5)を好みます。自分で作る場合の用土の配合は、赤玉土6、ピートモス3、川砂1など。肥料は、幼木のころは、5月、7月、9月に窒素、リン酸、カリを等分程度含んだ有機質肥料を規定量施します。実をつける成木になったら、5月と9月に、規定量より少し控えめに施します。樹勢が強いので肥料が効きすぎると枝葉ばかり茂り花つきが悪くなります。水やりは、鉢土の表面が乾いたら鉢底の穴から流れ出るまでたっぷりとやります。つぼみがつくまでは少し乾かしぎみに、つぼみがついたら土を乾燥させないようにしっかり水遣りをします。乾燥を嫌うので、特に夏場は注意しましょう。果実が肥大している時期に水切れをおこすと果実がしおれてしまいます。

仕立て方と剪定、植え替え

自然樹形で形が整ってきます。剪定は、春に込み合った枝や地際から伸びている枝は付け根ら切り、枝先を3分の1程度切り戻します。新芽が伸びている最中は伸びがおさまってから剪定します。コンパクトに仕立てたい場合は1シーズンで伸びた枝の先端から2分の1程度のところで外芽を残すように切り戻します。植え替えは2年を目安に、一回り大きい鉢に植え替えます。同じ鉢を使う場合は根をほぐして新しい用土に植え替えます。最終的に鉢の大きさは、8号~10号鉢が丁度良いでしょう。

アセロラの自然樹形
アセロラ「ルージュ磐田」5号鉢植え

アセロラの盆栽仕立て
アセロラ 姫桜桃
盆栽のように仕立てても似合います

人工授粉

両性花で自家受粉します。昆虫が少ない環境の場合は綿棒などで花の中心部分を軽く触って受粉します。気温が低いと不稔性の花粉(不完全状態の花粉)になってしまい結実しにくくなるので、開花時にジベレリン(着果促進剤)を50~100ppm散布すると実つきが良くなります。

アセロラの人工授粉

収穫

開花後、約一ヶ月で果実が赤く色づいたら収穫します。気温が高いほど短期間で成熟します。実の一部が赤く色づいたら約半日で赤く熟します。それを見越して収穫するとよいでしょう。鮮度がすぐ落ちるので収穫後は早めに食べましょう。あまりにも酸っぱい場合はミラクルフルーツを事前に食べておくと甘くなり面白いです。

アセロラの実
赤くなる前はこんな色

スポンサード リンク