グアバ
分類 | フトモモ科 バンジロウ属 常緑小高木 |
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原産地 | 熱帯アメリカ |
耐寒温度 | 0℃ |
生育適温 | 23~30℃ |
グアバ(グァバ、グヮバ、グワバ:guava)は、主にハワイやオーストラリアなどで栽培されてる熱帯果樹です。原産地の熱帯アメリカでは紀元前800年頃から食されているといわれています。各種ビタミン豊富な実は「熱帯のリンゴ」とも呼ばれジューシーなトロピカルフルーツとして有名です。熟すと麝香(じゃこう)のような香りがします。葉に含まれる成分プロアントシアニジンは高血圧や糖尿病などに効果があるとされ、グアバ茶としても利用されます。別名、バンジロウ、蕃石榴(バンザクロまたはバンセキリュウ)、沖縄地方の方言ではバンシルー、バンチキロー、バンチュルとも呼ばれています。栽培は、寒さに比較的強い熱帯果樹で樹勢も強く容易です。結実年数は、苗からで2~3年、実生で4~5年です。
品種・種類
グアバは多種多様で果実の形や果肉の色、地方名などにより命名されていることが多く同一品種でも場所により別名で呼ばれていることもあります。日本では実生苗も含み果肉の色と大きさで呼ばれることが多いようです。よく市場で流通しているストロベリーグアバやイエローストロベリーグアバはグアバ(バンジロウ)とは別種ですが、グアバとして扱われています。また、フェイジョアもグアバに含まれることもあるようです。
- グアバ(バンジロウ)
- 果肉の色と大きさ、形で分類される。果肉の色は、白、赤、ピンク、オレンジ、黄など様々。果肉の色が赤~ピンクだとスイカグァバとも呼ばれ、実が大きいとキンググァバ、果実の形が洋梨形だとペアーグァバ、球形だとアップルグァバとも呼ばれたりする。赤肉系はねっとり、白肉系はサクサクとした食感。品種名があるものでは、ハワイ原産の品種、バーモント。台湾原産の品種、東山月抜(中山月抜)、梨仔抜、白抜、宜蘭白抜、日茂月抜、泰国抜、真珠抜、水晶抜。インド原産の品種、ラックナウ49、アラハバドサフェダ、バナラジ、アップルカラー、シードレスなど。他には、ほとんど種のない品種、ホワイトインディアン、ハワイアンピンク(香港ピンク)などがある。
鑑賞に優れている珍しい斑入りグアバ
斑入りグアバは実の表面にも斑が入る
- ストロベリーグアバ(テリハバンジロウ) ※別種
- 耐寒性に優れており温暖な地域では戸外で冬越しができる。成木で-7℃まで耐えることが出来る。果実は大きさ3~4cm、重さ4~16g。果皮は熟すと赤色になり、果肉は濃桃色、ジューシーで甘く適度な酸味を持ちイチゴの香りがする。葉が厚く光沢があるところからテリハバンジロウという和名が付いている。葉が綺麗なため観葉植物としても人気がある。ブラジル原産。
- イエローストロベリーグアバ(キミノバンジロウ) ※別種
- テリハバンジロウの変種で果皮が熟すと黄色になる品種。テリハバンジロウよりも少し大きめの果実がなり酸味が少なく風味が良いとされている。
特徴
本来、高さ8~10mほどになる常緑性の小高木です。鉢植えでは樹高1.5m程度。地際近くでよく分岐し、樹皮はサルスベリのように滑らかで、古くなると剥がれ落ちやすくなります。葉は淡緑色で長楕円~卵形、長さ5~15㎝、幅4~8cmほど、裏面は白緑色で軟毛があります。花は直径2.5cm白色で雄しべがたくさんあり目立ちます。前年枝の新梢の基部1~5節の葉腋に花芽がつきます。花芽発生から約30日で開花します。開花時期は2~6月で9~10月頃に収穫できます。条件の整った熱帯地域では周年開花結実します。
果実は品種により大きく異なり、大きさ3~13cm、重さ30~500gほど、形は球形、卵形、洋ナシ形など様々です。果皮は緑色で熟すと黄緑~黄色、帯緑黄色、帯紅色になります。果肉は色が白、赤、ピンク、オレンジ、イエローなどがあり、熟すと麝香のような独特の香りを放ちとてもジューシーになります。食感はナシなどと同じく石細胞が含まれており、ザラザラした感触があります。褐色で小さく硬い種子が果実の中心部分に多数入っています。皮ごと種も一緒に生食できますが、種が気になる人も多いようです。
タネの蒔き方
完熟果実を食べた日に蒔きます。種の周りの果肉を綺麗に取り省いて、そのまま種まき用培養土などに蒔き覆土します。用土は乾かさないように管理します。発芽率は比較的良く、条件がよければ2週間~1ヶ月ほどで発芽します。すぐにまかない場合、種子は1年くらいは保管できるそうです。
栽培のポイント、冬越し
高温多湿と日当たりを好みます。生育適温は23~30℃です。春~秋までは戸外の風通しのよい場所でよく日に当ててやります。日当たりがよいほど着花しやすくなります。6℃以下になると生育が止まるので冬は室内に取り込み、できれば最低温度5℃以上が保てる日当たりのよい場所に置きます。成木になれば一時的には-4℃程度なら耐えることが出来ますが、幼木の頃は耐寒性がやや弱いので注意します。0℃以下になると葉が赤紫色になり落葉してしまいます。
グアバ鉢植え実つき
鉢植えで管理し冬は室内へ取り込む
用土と肥料、水やり
水はけ水もちの良い用土(pH4.5~8.2、最適pH5.5~6.0)を好みます。用土の配合は、赤玉土7、腐葉土3の割合で良いでしょう。土壌への適応力は広く排水性がよければどのような用土でも問題ありません。肥料は、春、夏、秋の3回、骨粉入り油粕などの有機質肥料や緩効性化成肥料を規定量施します。多肥になりすぎると樹勢が強くなり着果している場合は生理落果してしまうことがあります。水遣りは、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりとやりましょう。夏は水切れになりやすく乾かしすぎると新梢や着果に悪影響がでてきます。水分が不足すると、葉が小さく色は黄くなり新梢の発生や着蕾もバラバラになってしまいます。冬は乾燥気味に管理して、開花期、発芽期はやや多めに与えます。収穫直前は水遣りを控えめにすると美味しくなります。
仕立て方と剪定、植え替え
杯状形や開心形で仕立てます。高さ40~50cmで切り詰め、3~5本の新梢を伸ばし将来の主枝として育てていきます。剪定は、5月と9月に徒長枝や弱い枝、込み入った枝などをつけ根から切り、幼木の頃は新梢の先を軽くカットしてやります。成木になると前年枝の頂芽やわき芽に花芽がつくのでその部分はカットしないように注意します。収穫後に結実した枝は半分に切り戻してやります。植え替えは、2年を目安に鉢増しを兼ねて植え替えてやります。最終的には10号鉢以上が理想です。鉢を大きくしたくない場合は根をほぐして新しい用土にしてやりましょう。植えつけや植え替えの適期は4~5月頃です。
人工授粉と摘果
自家結実性があり1本で実がなります。風や昆虫によって受粉しますが人工授粉を行ったほうが結実率が上がります。1枝(葉10枚程度)につき1果を目安に摘果します。グアバは結実率が高いのですが、着果後の低温や日照不足などの要因により生理的落果することが多くあります。
グアバの幼果
病害虫
ほとんど心配ありませんが、カイガラムシやアブラムシの発生ですす病になる場合があるので注意します。害虫は見つけ次第はやめに駆除します。果実は樹上で完熟期になるとエチレンガスを発生して虫などの食害にあうことがあるので袋かけなどで予防するとよいでしょう。袋かけは炭素病の予防にもなります。
収穫と食べ方
成熟日数は、品種や時期によって異なりますが開花後100~140日で成熟します。果実は熟期が近づいてくると急速に肥大します。果皮が黄緑色になったら収穫適期です。 収穫後、白肉系はすぐに食べられます。赤肉系は、果皮がまだ青く手で触ってみて硬い場合は、1週間程度常温で追熟します。香りが強くなり触ってみてやわらかくなっていれば食べ頃です。
食べ方は、適度に冷やしてそのまま生食します。皮を剥いて適度にカットして食べましょう。中の種ごと食べれます。現地のひとは皮ごとまるかじりです。皮や外側の果肉部分にビタミンCやポリフェノールが多量に含まれているので、皮ごと食べると美容に良いでしょう。
ほのかに甘みと酸味はあるが薄味、香りは良い!
種が苦手な方は、ミキサーにかけ裏ごしして種を取り除きジュースやシャーベットなどにしても美味しくいただけます。果実以外にも、葉には果実の10倍のポリフェノールが含まれているので自家製グァバ茶を作ってみるのも楽しいですね。
果肉のとろっとした食感がするグアバジュース
増やし方
取り木
剪定予定の不要枝などを利用すると一石二鳥
取り木したい枝の表皮を小刀等で剥く環状剥皮(かんじょうはくひ)処理をします。今回は鉛筆くらいの太さの枝で剥いだ境目の上側あたりに発根促進剤ルートンを塗りました。あとは、湿らした水苔で包んでビニール袋で封印します。取り木を仕掛けた時期は6月頃。水苔が乾燥しないように数ヶ月管理します。
※ルートンの使用については食用の植物には利用不可とのことです。実がなるまで年月がかかるものについては大丈夫との情報もあるので、自己責任でお願いします。
9月頃、発根確認!成功です!
水苔の下で切り離して葉っぱの量を調整します。
水苔のまま鉢に植えつけて完成!!
取り木して翌年・・・・
開花しました!!