ブルーベリー

分類 ツツジ科 スノキ属 落葉低木
原産地 北アメリカ
耐寒温度 -30~-10℃
生育適温 12~25℃

ブルーベリー(blueberry)は、北アメリカ大陸東岸に自生している野生種から改良された小果樹で歴史も浅く「20世紀の果物」と呼ばれています。アメリカやカナダなど世界中に150種以上あるといわれており、日本では主にハイブッシュブルーベリーとラビットアイブルーベリーという2種類が栽培されています。完熟した果実には豊富なポリフェノール類が含まれており、その栄養成分のひとつであるアントシアニンは視力回復や抗酸化作用があります。また、生活習慣病予防やアンチエイジング効果に関する研究成果が発表されています。ミネラルやビタミン類も多く含まれており栄養価が非常に高い果実で注目されています。栽培は、とても丈夫で病害虫にも強く、無農薬栽培も可能です。花も実も紅葉も楽しめ、季節が移っていく度に表情を変えます。鉢でも庭でも育てやすく、家庭果樹で最も人気があります。結実年数は、苗からなら1~3年、実生で3~5年ほどです。

ブルーベリー
家庭で育てやすい大人気のブルーベリー

品種・種類

ブルーベリーは、大きく分類すると野生種、栽培種にわかれます。栽培種の中で日本で栽培されている主な2系統が、ラビットアイ系、ハイブッシュ系でそれぞれの特徴は次のようになります。

  1. ラビットアイ系→温暖地向き(関東地方南部より西)、耐寒温度-10℃、乾燥に強い、酸度pH4.3~5.5、樹勢が強く大きく育つ。自家結実性が弱い。
  2. ハイブッシュ系→寒冷地向き(関東地方北部から北)、耐寒温度-30℃、乾燥に弱い、酸度pH4.3~4.8、樹勢は普通コンパクトに育つ。自家結実性がある。

いずれも実つきをよくするために同系統の開花期の近い2品種を選ぶと良いでしょう。栽培地に関しては北海道を省けば系統は特にこだわらなくても大丈夫です。果実の大きさの目安は、大粒18mm、中粒15mm~18mm、小粒15mmに分かれます。 以下におすすめの品種を紹介していきます。

ブルーベリー ティフブルー
定番の優良品種ティフブルー
ブルーベリー チャンドラー
ブルーべリー最大級品種チャンドラー

ラビットアイ系

ウッダード
早生。中~大粒。開花期間が短く一斉に花が咲く。香りが良い。ブルームが多い。
ホームベル
早生。小~中粒。樹勢が強い。芳香があり豊産性。ブルームは少ない。
クライマックス
早生。中粒。矮性品種。短期間に集中して熟す。粒ぞろいがよく日持ちする。
ブライトウェル
中手。中~大粒。実つきが良い。しっかりした果実で裂果も少なく豊産性。
ティフブルー
晩生。中~大粒。ラビットアイ系の代表品種。強健。豊産性。味がよく貯蔵性に優れる。
パウダーブルー
晩生。中~大粒。豊産性。果肉が硬く裂果しにくい。ブルームが多い。

ハイブッシュ系

デューク
早生。中~大粒。強健。豊産性。香りがよくジャムに適している。
シエラ
早生。大粒。強健。豊産性。食味が良い。貯蔵性に優れる。
コリンズ
早生。中粒。香り、甘味、酸味が良く調和している。
パトリオット
中手。大粒。耐寒性に優れる。香りがある。収穫期間が長い。コンパクト。鉢植え向き。
ブルーレイ
中手。大粒。強健。豊産性。ブルームが多く美しい。安定した収量の人気品種。
バークレー
中手。大粒。果実は密着してなり柔らかい。見栄えが良い。
ブルークロップ
中手。大粒。強健。豊産性。食味が良い。安定した生産性。貯蔵性に優れる。
ブリジッタ
晩生。中~大粒。豊産性。乾燥に強い。生育が早い。甘い果実。食味が良く生食向き。
チャンドラー
晩生。超大粒。ブルーベリーの最大果品種。500円玉サイズ。甘みが多い。収穫期間が長い。

特徴

北アメリカの野生種は、木の高さ50cm程度で地を這うような樹形です。果実はとても小粒で生食としての利用はほとんどなく、ジャムやソースなどに加工されます。栽培種は、成木になると樹高は種類により異なりますが、1.5~3mほどになります。鉢植えでは樹高1m前後です。

ブルーベリーの木

葉は、卵型~楕円形で枝(茎)の上に交互に生える単葉です。葉の大きさは3~10cmほどで、葉の縁がギザギザしたものや、葉の裏面に触毛のある品種もあり様々です。最低気温が10度以下になる11月頃から赤く紅葉し始め、冬になると落葉します。

ブルーベリーの花

花は1cmに満たないくらいの小さな鈴形で下向きに咲きます。花色は白色または淡紅色で濃淡が品種により異なります。花芽は前年に成長した枝(前年枝)の先端とその下の数節の側芽に形成されます。花芽から短い枝が伸び5~10数個の蕾を付けます。そして基部のほうから順に咲いていきます。開花時期は4月~5月上旬頃で開花の期間はおよそ3~4週間です。根は根毛がなく1本1本が細いため水や肥料を吸う力が弱く、浅く張ります。

ブルーベリーの開花
下向きに咲く鈴形のかわいい花
ブルーベリーの花芽、蕾
ブルーベリーの花芽、蕾

果実は大きさ5mm~18mmほどで、緑色から熟すと紫黒色になりブルームと呼ばれる灰白色の粉で覆われます。収穫時期は6月中旬~9月上旬頃です。種子は大きさ0.5~1mm程度で中心部分に複数入っています。

ブルーベリーの果実

タネの蒔き方

十分に柔らかくなっている完熟した果実から採種します。市販の生食用冷凍ブルーベリーの種でも発芽可能です。種は非常に小さい(苺の種より更に小さい)ので注意しましょう。種まき用培養土などにパラパラと蒔きます。発芽までは用土が乾かないように水遣りをしましょう。発芽率は非常に良く、発芽の適温は18℃前後です。うまくいけば2週間くらいで発芽します。種まきの適期は3月くらいが良いでしょう。

ブルーベリーの実の断面、種子
実の断面、小さい種がたくさん入っている
ブルーベリーの発芽、実生
ブルーベリーの発芽

栽培のポイント

日当たりの良い戸外で管理します。生育適温は12℃~25℃で涼しい場所を好みます。夏は西日があまり当たらない場所が良いでしょう。ブルーベリーの根は吸水性が弱く過湿や乾燥に弱いので特に夏の乾燥に注意しましょう。乾燥防止に藁やバークチップをマルチングすると良いでしょう。冬は低温(8℃以下)に長時間あたらないと翌年に開花しないことがあります。室内に取り込まず一年中戸外で管理しましょう。生育が順調であれば毎年株元からシュートが伸びてきます。翌年そのシュートが育ち花芽が形成され次の年には開花結実します。

用土と肥料、水やり

水はけがよく肥沃な弱酸性(ハイブッシュ系pH4.3~4.8、ラビットアイ系pH4.5~5.5)の用土を好みます。用土の配合は、酸度未調整ピートモス4、赤玉土3、鹿沼土3もしくは酸度未調整ピートモス6、鹿沼土4。ピートモスは水を吸収させながら混ぜると良いです。自分で作るのが面倒な方は専用のブルーベリー培養土が市販されてます。肥料は、骨粉入り油粕などの有機質肥料を時期は3月、5月、10月に規定量よりやや少なめに与えます。速効性の肥料は成分が濃く根が傷みやすいので避けます。こちらもブルーベリー専用の肥料が市販されています。水遣りは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷりやります。特に夏は乾燥しやすいので水切れに注意します。


ブルーベリーの肥料 ブルーベリーの培養土

仕立て方と剪定、植え付け、植え替え

仕立て方は、自然の形で育てていくと株立ち(ブッシュ仕立て)になります。植え付けは、根鉢を軽くほぐして大きめの鉢(8~10号鉢)に植えてやります。大き目の鉢のほうが水切れしにくいので管理が楽になります。植え替えは、数年おきに、根がつまってきたら鉢増しをかねて新しい用土で植え替えてやります。10号鉢以上でサイズを変えたくない場合は根をほぐして用土だけ入れ替えてやります。植え付けや植え替えの時期は10月~3月頃にします。他の時期にする場合は根を崩さずに植えれば大丈夫です。剪定は、込み合った枝や弱った枝は付け根からカットして株の内側をすっきりさせます。5~7年以上たっている勢いのなくなった古い枝は地際や新芽が発生するあたりで切り、若い枝へ更新していきます。花芽の多い枝は、花芽の数を半分くらいに切り落として減らすと、大粒の果実になります。目安は、花芽1に対して葉4枚くらいにすると大粒の果実になります。株がまだ幼木の期間(2年生くらい)は花芽を摘み取り枝を充実させてやりましょう。剪定の時期は11月~2月頃にします。

ブルーベリーの鉢植え
ブルーベリーの鉢植え ブルーベリーブルーレイ、樹高1mの鉢植え5年物

人工授粉

自然状態では蜜蜂やマルハナバチなどの昆虫が受粉します。蜂が花にとまると羽などの振動で花粉が散布され受粉されます。

ブルーベリーの受粉

大きい実やおいしい実を収穫するためには確実に人工授粉しましょう。ブルーベリーの花は触った振動で花粉が下に落ちてきます。開花したら、耳掻きの先のぽんぽん(ぼんてん)や筆などで花の下から振動させる感じで触ります。花粉が落ちてきて採取できます。その花粉を違う株の花のめしべにつけてやります。その作業を交互にやっていきましょう。

ブルーベリーの花の断面
花の断面、下から触ると花粉が落ちてくる

ブルーベリーの幼果
受粉すると膨らんでくるブルーベリーの幼果

鳥害防止、病害虫

鳥の食害防止のために果実が色づく直前くらいに株全体に寒冷紗などをかぶせてやりましょう。害虫は、葉の裏などにイラガ、ケムシ類が発生することがあります。駆除方法は害虫が発生している葉っぱごとちぎって捨てるか、スミチオンなどの薬品を散布します。早めの対処が肝心です。

収穫

果実の全体が青く色づき3~5日後くらいが食べごろです。

ブルーベリーの収穫のサイン
果柄(かへい)が赤くなり付け根に紺色の輪が出現してくると収穫の目安。品種によっては果柄が緑のまま完熟することもあります。

収穫期を迎えたブルーベリーの実は、軽く引っ張るとぽろっと取れます。親指で回して手のひらに転がすように採っていくのがコツです。収穫後、保存する場合は出来るだけ早めに冷蔵庫へ入れましょう。


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